とっても素敵な先生でした。
我々が取り組んでいる須恵器の再現プロジェクト。
再現した須恵器の円面硯をお試しいただき、ご意見を頂戴できれば・・・、との要望を快く汲んでいただき実現。
瀬戸内市長及び公益財団法人寒風陶芸の里代表理事 武久顕也より寒風円面硯の贈呈。
早速墨を擦り筆を運び、感じることを言葉にしてくださいました。
「表面の質感や墨を擦る音から、荒くワイルドな印象だったけれど、実際文字を書いてみると、細かく繊細に墨が擦れていますね。」と。それを分かりやすく伝えられるように、にじみが強く出る紙を選んで、墨の濃度も考えてくださっていました。
紙の中の墨の映りは3D、あらためて書の奥深さを感じ、心が動きました。
寒風古窯跡群から出土している須恵器の円面硯について。
円面硯は飛鳥時代に高級官僚のみが使用したとされる文房具の一つであり、須恵器生産地である寒風古窯跡群から数点の破片しか出土していません。現在、墨を擦る時に使用する硯のほとんどは石で作られていますが、漢字が中国から日本へ伝わり硯が導入されたのは古代(7世紀前半ごろ)の飛鳥時代からで、平安時代中期ごろまでは墨を擦ることに耐えうる硬さを持つ須恵質の焼き物による硯(陶硯)が使用されていました。
現在、文書を作成するには文字を「書く」ことからパソコン等で文字を「打つ」行為に代わってきましたが、簡略化される行為は感覚を退化させてしまいそうな気がします。過去が古いという定義は時間の経過という意味であって、実は新しくもあるような、そんな気がします。墨を擦って文字を書くということは、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」味覚を抜いて「心覚」等、多くの感覚を使い新しい何かに気づく感覚を育てるように思います。忙しい時代だからこそ、大事にしたいことの一つだと感じました。
武田双雲先生、貴重なお時間を頂戴しまして、大変ありがとうございました。なんと武田双雲公式ブログにも書いてくださっています。
私たちの住む瀬戸内市の和菓子屋「岡山夢菓匠 敷島堂」さんの社名を書かれていらっしゃることから、ご縁をいただく事が出来ました。関係者の皆様ありがとうございました。